やはり書かなければならないだろう。
奈良で起こった、元首相の銃撃事件。
大和西大寺駅まで、ぼくの住む近鉄奈良から二駅しか離れていない。
今日はずいぶん、ヘリコプターが長い時間、空を飛んでいた。
「奈良で安倍総理、撃たれて心肺停止だって」家人が部屋に来て言った。
「奈良で?」
「西大寺だって」
そんな会話をした。
あまり、好きでない政治家だった。でも、こういう最期を遂げるとは…。
何も書けなくなって、庭でこないだ切った月桂樹の整理をする。
何となく、外の空気が、シンとしている気がした。
全く予想、想像だにしていなかったことが起こると、やはり動揺するものなんだと思った。
ネットのニュース映像を見たりする。午後は、ずっとこのニュースばかり流れていたようだ。
しかしこの動揺は何なんだろう? 戦争が始まったニュースを見た時もそうだった。
ノーテンキに自分の世界に閉じこもって、文章なんか書いてる場合じゃない、と思えてくる。
妙な緊張感が、今この島国を覆っている気がする。
殺傷、暴力沙汰からは、何もうまれない。
そんな、ありきたりのことしか言えない。