今日は快晴、朝は寒かったが、昼は暖かい。
てくてく歩いて、駅前のタバコ屋へ。30分ほど掛かる。
それまでに、3、4軒、あるにはあるが、そこでは買わない。
目的のタバコ屋には、可愛いお姉さんがいるからである。
といって、べつに、何の下心があるわけでもない。
と、言えると思う。ただ、感じがいいだけである。
そこは本当に小さな店で、へばりつくように往来にある。
たぶん、いつもそこに座っている場所は、一畳もないと思う。そこに彼女は、1日中、店番をしているのだ。
アクリル板の向こうで、大抵、ひっそり下を向いている。
小さなガラス窓を開けようとすると、向こうで気づいて、開けてくれる。
「こんにちは」
「こんにちは」
お互い、笑顔を交わす。
「いつものを、1カートン」と言うと、後ろの棚から取ってくれる。
手を伸ばす際、見える横顔も、笑っている。
笑いは伝染して、私もニコニコする。
「いつもありがとうございます」などと言われ、「こちらこそです」などと、こちらも、もごもご言う。
金銭の授受が行われ、終わる。それだけの話。
この、当たり前のようなことが当たり前にできる、それだけのことが、ありがたく感じられる。
今日などは、なぜか、眼が合っただけで、互いに笑ってしまった。
そして単純な私は、帰り道も、ほくほくしてしまう。
あくまでも、それだけの話である。
よく、勘違いして、自分に気があるのだろうか、など、考えたくない。
ただの、笑顔の関係を、大切にしたい。その一瞬、せいぜい30秒も掛からない、
それだけの秒数で、まったく充分。1ヵ月に、3回位、買いに行く。
その往復1時間を掛けて歩く間も、何となく楽しい。
笑い合える一瞬のために、それまでの時間が費やせるのは、素敵なことだと思う。
そんな感じで、一生を過ごせたら、幸せな気がする。