夏の空

 青い、青い。

 そこに、もくもく入道雲。完璧な、夏の空。

 天に向かって、樹木が伸びる。

 この家にあっては、住宅街の一角なので、伸びすぎた枝を切らねばならない。

 スーパーに買い物に行き、帰宅後に納豆ご飯。今年はトマトの味噌汁にハマッた。簡単に作れるのがいい。野菜の安い店を発見したのも大きい。

 そして脚立を出し、庭へ出動。てっぺんの方を、伸縮式の高枝切狭を伸ばし、ぐらぐらしながら切る。枝葉の向こうには、太陽がサンサン!

 眩しいが、なんだか気持ちいい。汗をかきかき、何本か切る。

 このエゴノキには、去年身体の具合が悪くなって寝込んでいた時、ずいぶん励まされた。

 何百という小さな白い花を下向きに咲かせ、そこにたくさんのミツバチ(?)が飛んできていた。

 ああ、いのちが、いとなまれてる! 花は何も思わず咲き、ハチは夢中に花から花へ飛び交って。

 そよそよと、葉が風に揺れたりして、その向こうに空があった。まだ梅雨入り前ぐらいの季節だった。

 布団の上で、ねているしかない僕に、あの窓越しに見えた花は、ほんとうに慰安だった。あんなにずっと、一本の木を見つめていたのも初めてだった。他にできることがなかったとはいえ、貴重な体験だった。

 そんなエゴノキだから、思う存分、大きく育ってほしいが… 遠慮しいしい、あの時の感謝も込めて、少しずつ少しずつ切っている。

 いや、暑いからってホント、部屋にいるばっかりじゃダメですね。

 なんだか外で、汗かいて歩いたり何かすると、その時はヒィヒィいっていても、その後が気持ちいい。

 水が、ただ氷を入れただけの水が、ほんとに美味しい。

 ああ、ありがたや、ありがたや。