以前は「たっちゃんねる」が好きだった。「孤独のグルメ」を見ていたら、サイドに出てきたのがきっかけだったか。
単なる中年のおっさんが、旅先や地元の名古屋で、とにかく飲み食いするというチャンネル。
だが、だんだん飽きてきた。そうだ、三年前のコロナ禍の頃に見始めたんだっけ。
他にもいろんな youtubeが「バズッて」いるそうだが、全く見ない。その三年前の頃は、面白いものはないかと探しもしたが…。「同棲生活」とか「女の一人暮らし」とかいう、再生数の多いものがサイドバーに出てきて、見たことはある。
しかし、見ているこっちが恥ずかしくなった。なんで同棲生活を公開し、カメラで自分の日常を写すのか…。そのココロも疑った。まぁ、お金目的なんだろうけれど。
結局、見るのは一本だけになった。「むるおか君のパチンコスロットライブ」というチャンネルで、ほぼ毎日、夕方から六時間位、ライブをしている。
私は一時期パチンコにハマり、痛い目に遭いつつもそのムダな時間に救われたものだ。こないだ久しぶりにやったが、特に何ということもなかった。もう、できないな、と確認した。体力面でも、精神面でも。
しかしこの「むるおか君」は、ほんとに毎日パチンコをしているのだった。会社を辞め、自分で何やら会社を立ち上げ、奥さんもお子さんもいらっしゃる。
口が悪い時もある(リスナーから妙なコメントが来ると「殺すぞテメエ」とか言う)。でも、根は真面目で、優しい人間であることが伝わってくる。
このリスナーとのリアルなやりとりが面白い。ライブだから、サイドバーのチャット欄にコメントが流れる。平均800人位?のリスナー数だから、そんなにコメントも速く流れないらしい。で、むるおか君はいちいち、ちゃんとリスナーのコメントを読み上げ、それに対して意見を言う。
それも、パチンコをしながらである。たまにお母さんも来て、隣りに座る。むるおか君はお母さんに打ち方などを教えながら、またコメントも読みながら、自分も打っているという、大変な働きぶりをしたりする。
それなりにご高齢のお母さんらしく、「海物語」で魚群が流れると(お母さんの台で)、「ほら、お魚さんだよ、お魚さん」と指さしたりする。お母さんは、「あらぁ」とか言う。
「自殺したい」などというコメントが来れば、「俺はお前が自殺をするのを否定しない。そこまでになるには、ほんとうに苦しかったんだろう、ほんとに思い悩んで、苦しかったんだろう。俺は、そういうお前を尊重するよ。否定なんかしたくない。でも〇〇(と、そのコメントを書いたリスナーの名を呼び)、死ぬ前に、俺にスパチャくれ。もう死ぬんだから、お金なんか持っててもしょうがねぇだろ? 俺にくれ。全財産、俺にくれ」
そんなことも言う。いや、こういう返し方をされては、自殺願望者も笑ってしまうだろうと思う。スパチャとは、「おひねり」のようなもので、ネット経由でその配信者にお金を投げることができるのだ。
政治や宗教についても一言を持っているし、とにかく芯のある配信者だと思う。そう、せっかく個人の、自分のチャンネルを持っているのだ。誰に忖度する必要もない。ヤバイことを言っても、しっかりした自分の意見であれば全く問題はない。
だが、なかなか来店(パチンコ屋が彼のような「演者」を店に呼ぶ)の仕事がもらえず、ライブ以外にも彼は自分の動画を作っているがその再生数も伸びず、なかなか大変であるようだ。
他にも、パチンコのライブ配信者は数名いる。以前見たことがあるが、つまらなかった。当たり障りのない、無難な、退屈な話をして、ただパチンコを打っているだけだった。だが、そのような「当たり障りのない」配信の方が、よほど多くの人に見られ、まるで人気があるのだった。
むるおか君は頭の回転も速く、難しい文語の言葉もスラスラ言い、サービス精神も旺盛で、ほとんどひっきりなしに喋っている。すごい人だと思う。
私はラジオ感覚で聞いている。実際、へたなラジオより面白い。なかなか、一般受けは難しそうだが、奥さんと二人三脚、健康に気をつけて、がんばってほしい。