昨日、タバコ屋へ行った。
暑いですねえ、まだ。と、お姉さん。
そうですねえ、と私。
あ、こないだラジオで言ってたんですけどね、と私が話しだす。
日本で最高齢の女性の方… 120歳近かったかな、その人の健康の秘訣、みたいな話があったんです。その秘訣は、「よく食べ、よく寝ること」で…
と、私、お姉さんに掌を返すように差し出して言った。
そう、前にここでタバコを買った時、夏バテしない秘訣として「よく食べ、よく寝ること」とお姉さんは仰っていたのだ。
ああ、とお姉さんは笑った。そして付け加えた、「欲望のままに」と。
前も、そう、この「欲望のままに」があった。
あ、と私は笑ってうつむいたが、やはり「欲望のままに」と真っ直ぐ私に目線を投げて言われると、ドキッとしてしまう。
この「欲望のままに」は、単なるウケ狙いなのか? それとも…
それとも、ただほんとにそうであるだけなのか。
私の妄想は肥大した、今度、「うん、私も欲望のままに言うと、お姉さんのこと好きですよ。チャンとジタンも注文して下さったし、しっかりなさってます。ほんと、ありがたいです」
とでも言ってやろうかと、しばらく経ってから思ったのだった。もちろん冗談、半分はほんとの、冗談として。それで笑ってもらえたら、私も万々歳である。
ただ私はタバコのほうが大切なので、あくまでも一介の、単なる客として、そんな冗談を言い合えて、笑ってタバコが買えればいいのである。