スーパーの軒先で

 地域密着型のスーパーに買い物へ行った。店の軒先で、特売品が並んでいた。レジもあった。タマネギが、4コ入りのが100円だった。レジは、並んでいた。
 ぼくは、3人目だった。先頭は、おばあちゃん客であった。財布から、小銭を出すのに、時間がかかっていた。
 ぼくの前にいる主婦が、レジのお兄さんに「これね」と言って、持っていたメロンか何かを見せ、お金を渡し、小走りに走っていった。ぼくも「これね」と言ってタマネギを見せ、お兄さんに100円(消費税込)を渡した。おばあちゃんは、時間がかかっていた。

 こういうとき、おばあちゃんに、悪いことをしたような気になる。「遅いんだよ」と、無言のうちに、言っているようなものではないか。
 レジのお兄さんも、ああ、すいません、みたいな形になってしまう。

 家人に、この話をすると、「大丈夫。トシをとると、まわりのこと、そんな見えないから。お兄さんもかわいそうにね、いつも、レジ、ふたりでやってるのに、ひとりだったのね」ということだった。
 ぼくは、少し残念な気になりながら、「空気で、伝わるんじゃないかな」と言った。「おばあちゃんが、支払うまで、ぼくらは待って、おばあちゃんが精算済ませてぼくらの横を通る時、軽く会釈をしたかったな。おばあちゃんは、なんで会釈されるんだか分からないとしても、そうしたかったな」

 いかん。だったら、そうすればいいのだ。なんで、「待つ」くらい、できないのだろう。何を、ぼくは急いでいたんだろう。
 根拠は分からないが、老人は、大切にされるべきだと思う。突然。
 今度こういう場面に逢着した時、おばあちゃんの財布からお金を取り出すのを手伝う…窃盗と間違えられたら困るな。やはり、「待つ」のが、いいのか。
 我慢強くなりたいと思う。いろんな場所で。