そう、気持ち良さを求めること── この時点で、おまえは心に隷属しているのだ。
支配されちまったんだよ! 支配されちまったんだよ!
だからおまえは、わたしを描写できないのだ。
いつのまにか、大きくなったおまえが言う。
さっきまで、ちぢこまっていたのに。変幻自在の忍者か、おまえは。
「きみよ」と、わたしが言う。
「どうしてきみは、そんなに自由なのかね」
おまえは黙り込む。そうだ、おまえには自由という意識もなかったね。
おまえは、わたしが眼を向けない限り、おまえ自身に気づきもしない。
わたしがおまえを不自由にさせているのか。
おまえは、わたしが気づかなければ、自由な鳥であったのか。
わたしがおまえを押し込めてしまうのか。
わたしがおまえを苦しめていたのか?
なよなよと、きみはやわらかくなる。
そうなんだよ、と言っているのか? 同意しているのか?
わたしがおまえを苦しめていた。
それだのに、わたしはおまえに苦しめられていた、と思っていた?
おや、一体どうしたわけだ。
ささくれ立っていたおまえが、やわらかい。
まんまるになって、じっとしている。
ちょこなんと、人懐っこそうに、そこにいる。
わたしの、すぐ横に。