眼(5)

 さて、きみは、わたしが分かったかね。

 ── どっちが、わたしだったっけ。

 うん。どっちだったっけね。

 きみとわたしが、たがいに、なくてはならない存在であることは分かったよ。

 ほう。書いて良かったな。毒を、抜いたわけか。

 文学とは、毒を吐くこと、と、えらい作家先生が言っていたよ。

 ふん。文学なんかやってる気もなかろうに。都合のいいことばかり、取り入れて…。読まされた方は、たまったもんじゃないね。読む人がいればの話だが。
 それに、毒を吐くにも、品というものがあるだろう。あまり、よろしくないよ、きみ。

 … ま、いっか。好きなこと書いて…あとは、もう。

 さあ、よく眠れるといいね。

 そうだ、まったく、そうだ。春は近いけど、朝が遠くてね。

 おやすみ。

 おやすみ…