眼(4)

 そう、気持ち良さを求めること── この時点で、おまえは心に隷属しているのだ。
 支配されちまったんだよ! 支配されちまったんだよ!
 だからおまえは、わたしを描写できないのだ。

 いつのまにか、大きくなったおまえが言う。
 さっきまで、ちぢこまっていたのに。変幻自在の忍者か、おまえは。

 「きみよ」と、わたしが言う。
「どうしてきみは、そんなに自由なのかね」

 おまえは黙り込む。そうだ、おまえには自由という意識もなかったね。
 おまえは、わたしが眼を向けない限り、おまえ自身に気づきもしない。
 わたしがおまえを不自由にさせているのか。

 おまえは、わたしが気づかなければ、自由な鳥であったのか。
 わたしがおまえを押し込めてしまうのか。
 わたしがおまえを苦しめていたのか?

 なよなよと、きみはやわらかくなる。
 そうなんだよ、と言っているのか? 同意しているのか?
 
 わたしがおまえを苦しめていた。
 それだのに、わたしはおまえに苦しめられていた、と思っていた?

 おや、一体どうしたわけだ。
 ささくれ立っていたおまえが、やわらかい。
 まんまるになって、じっとしている。
 ちょこなんと、人懐っこそうに、そこにいる。
 わたしの、すぐ横に。