無自己

自分なんて無いんだよ
自分が自分を意識するのは
意識が意識しているだけで
その意識は、自分の意識ではないんだよ

これを食べて、美味しい、不味い
それは舌がそう感じているだけで
自分が感じているのではないんだよ

痛いもかゆいも
皮膚やその箇所がそう感じるのであって
自分が感じているのではない。

将来の不安も過去の後悔も
頭が考えているだけで
その頭は自分のものではない。

目、鼻、口、耳…手、足、指…
心も、ぜんぶ、寄せ集めで
自分のものでは、ないんだよ

「もし自分のものだったら
自分の思い通りに動くだろう
心も、こんなに
自分を苦しますことはないだろう」

感じる自分でないものに、
ない自分がとらわれるから

自分があるように思えてしまう。

無から生まれ 無に帰る
それまでの束の間の宿に
今、泊ってる

ひとりにひとつ
ひとつに、ひとり

だいじにしたいネ、今の宿。