(15)閑話休題。

 34、5の時、求人の正社員募集広告を見て、その会社へ電話した。
「失礼ですが、結婚されてますか?」と、確かに、電話の相手が言った。
「いえ、してません。」(「してました」とは、言わなかった)

「あのー、うちの社長、結婚して家族を養う責任もってる人でないと、雇わないんです」ということを、確かにその電話の相手は言った。
「えっ、あっ、そうなんですか。」ぼくは少し笑って言ったと思う。(「同棲は、してます」とは言わなかった)

 すごい尺度を持ってる社長だなぁ。
 きっと面接 → あわよく採用、そこに、もし勤め始めたとしても、きっとウマが合わなくて辞めただろうなぁ。
 最初から、「ウチはこういう会社だ」と、こういうふうにキッパリ言ってくれたほうが、よかったと思った。

 しかし、「責任感」の有る無しの尺度って、そんなもんかね、結婚して家族を養う…?
 離婚したって、ある、未婚だって、ある人にはあるだろうよ、せきにんかん。
 働くのは、婚姻届や出産届ではなかろう。

 でも、きっと「家庭持ち」の、セキニンカンに満ち溢れる人々の働く、素晴らしい職場だったんだろうなぁ。