昼下がりのスーパーマーケット。生鮮食料品売り場の通路には、主婦をはじめ、ぽつぽつと人がいた。
そこにひとりの、中年と初老と思しき男性客が現れた。そして彼はこう言ったのだった、「あーあ、なんか美味しい物ないかなあ!」
嘆きと憂いが入り混じったような、感嘆するような声で、周囲にいた者に十分届く音量だった。
その通路にいたわれわれは、突然の声に、笑いを押し殺した。
「何か美味しい物はないか?」
これほど、食品売り場にいる客を代弁し、その心情を言い表した言葉を、ぼくは他に知らない。
昼下がりのスーパーマーケット。生鮮食料品売り場の通路には、主婦をはじめ、ぽつぽつと人がいた。
そこにひとりの、中年と初老と思しき男性客が現れた。そして彼はこう言ったのだった、「あーあ、なんか美味しい物ないかなあ!」
嘆きと憂いが入り混じったような、感嘆するような声で、周囲にいた者に十分届く音量だった。
その通路にいたわれわれは、突然の声に、笑いを押し殺した。
「何か美味しい物はないか?」
これほど、食品売り場にいる客を代弁し、その心情を言い表した言葉を、ぼくは他に知らない。