夏のガマン、冬のガマン

 同じ我慢でも、冬と夏のそれは違う。

 夏は、あきらめられる。ああ、暑いなァ、としながら、水を飲み、また汗をかき、それでも立ち働いて、しっかり疲れることができる。

 しっかり疲れることができるのが夏だ。

 冬は、疲れる前に、動きたくなくなる。しょんぼりする。軽快でなくなる。汗をかいた後の水の美味さもない。「~した後の」快さが奪われる。「これをした後のビール!」を夢みて、それをすることもできない。

 台所に立つのも寒いし、すべてが億劫になる。

 夏はそうじゃない。窓も開けられて、心地良い風が自然に入ってくる。鋭い太陽の日差しに、ああ、イキテルナ、と感じたりする。身体が喜ぶ。イキイキする。汗をかき、水を飲み、と、新陳代謝も活発になる。

 なんと素晴らしい季節だろう!

 冬はダメだ。ほんとにダメだ。何も良いところがない。寒さに凍えて、ちぢこまって、生命力が奪われていく。身体が喜ばない。解放できず、熱が内へ内へと籠って、風邪をひく。

 まったく、ろくなことがない。

 やっぱり、夏がいい。