気になる目線

 くだらない話を1つ。

 農家直送みたいな、野菜がメインみたいな店に行く。

 今日は確かポイント二倍デーだったのか、客が多かった。お目当ての「ちょっと傷ついてるけど元気」なキュウリは無く、トマトも高く感じられて、結局何も買わなかった。

 店内で、一度、30代?の女性とすれ違う。見切り品的なコーナーで。

 その後トマトの近くに行ったが、そこでもその女性とすれ違った。

 いや、すれ違ったというより、彼女は立ち止まって、1mも離れていない距離で(何しろ店内が混んでいたので)ロコツにジッと私を見つめていた。

 こう書いていても、ああ下らないと思うが、私は「ナンダコイツは」と思ってしまった。

 主婦層が多く、男といえば老人か私くらいである。「主夫」なんて言ったって、まだまだ世慣れない。見るからに老人であれば、老人に失礼だが、何か「許せる」感じもする。だが自分は、どうもまだ若いらしいのだ。

 混んでる店内にいるのもイヤだったし、ぐるっと回って店を出た。だが、あの女性の、ジッと見つめていた視線が、どうも気分が悪い。

 万引きチェックの私服警備員? チカン撲滅の市民運動家? いやいや、ほんとにブシツケな視線に感じられた。

 商店街の通りすがりに、チラと見られる一瞬はたまにある。でもそれは屋外の、開放された往来での、一瞬のこと。そんな広くもなく、そんな狭くもないが、一つの平屋の店の中で、あからさまにジッと見つめられると、なんだかイヤな気分になった。

 たぶん自分に、コンプレックスがあるせいだろう。また、なぜ私の顔を(あきらかに顔だけだった)そんなにジッと見つめてきたのか、理由がわからない。その解せなさのせいもあるだろう。また、私には、あんなに人をジッと見つめる勇気、度胸がない。自分のできないことを平気でする相手への、嫉妬のような感情も入っているかもしれない。

 ただ「見つめられる」数秒間のことだ。それなのに、まったくあれこれと想像が、妄想が、要らぬ考えがはたらく。

 そんな視線を気にする、小心な自分であることが、いちばんゲンナリする。

 私の顔が面白かったのかな。だったら笑ってくれればいいのに。笑ってくれたら、本望ですよ、笑いは百薬の長。こんな私でも、役に立てたと思えます。ただし、品よく笑ってね、ゲラゲラ笑いでなく。

 まあ、でも、何か気になるところがあったから、あんな見つめていたんだろうな。思い返せば美人さんみたいだった。

 しかし、一瞬見つめ合ったが、視線を逸らした私は、なぜか「負けた」気になった。この気は、どうしたわけだろう? このような場合、こちらが視線を落とすと、相手はジッと見続けている。(こっちの視界にも入っている)

 こちらも、ジッと見続けたら、つまり見つめ合い続けることになったら、どうなるのだろう?

 いや、やっぱりそんな度胸、勇気、私には、ない。