眠れない夜

 しかし眠れぬ夜はつらい。… つらいのかな、ほんとに。「寝なきゃ」という義務感みたいなのが、焦らせてるんじゃないのかネ。

 どうしてこんな、寝るのがヘタになったんだろう。… ラジオがあるから? 目が覚めて(ふっと、寝てる時がある)、なんかもう眠れんな、という感じになったら、ラジオをつけてしまう。「ラジオ深夜便」。面白かったら、そのまま聞いて、気づけば今午前二時。

 もうラジオも消したが、いよいよ眠れない。

 一日三食、チャンと食べていないから?

 そうかもしれない。さっき、睡眠薬代わり(?)にビール、そしてポテチの小袋を食ってしまった。こんな夜中に食えば、朝はそんなお腹もすかない… いや、そんな食っちゃイカン、と妙な自制がはたらく。

 で、ブランチみたいになって、今度は夕方に何か食べる。夜に風呂に入り、寝床に行ってそのまま眠れれば… いいのだが、こうして眠れない。

 何なんだろう。

 いろんな想い出が、やっぱり寝床で顔を出す。ああ、こんな夏の夜、あのマンションでひとり、落ち着けず、やっぱり眠れなかったな、とか。この空気は、あの時の感じだ、とフラッシュバックみたいに当時へ心がタイムマシンに乗ってしまう。

 もう八月か、と、時間の速さを憂うことはなくなった。この点は、あきらめがついたと言える。

 げんなりはしないでもないが、以前のような焦燥感、時間に押し出されるような感覚は少なくなった、と思う。

 しかしこんな眠れない日が続くと、時間を意識する。せざるを得ない。ああもう四時か、六時か、と、まだ二時なのに先へ先へ、時計の針を頭の中で動かしてしまう。

 どうしてだろう。暑いせいだろうか。今日もよく歩いたし、運動は足りているはずだが。

 頭の運動が足りてないのかな。… いやいや、夜はやっぱり寝たいよ。夜は寝て、太陽が昇ったら、しっかり考えようよ、頭さん。心さん、かな。

 おやすみ、お休み。自分に、言う。