現在

 本物の悪党… 人間の生命を人間の生命とも思わない、アリを踏み潰すほどのものだと考える… 自分達さえ繁栄すればいいという、その他の生命はどうでもいいとしか考えられない… そんな本物の悪党・・・・・が大権力を握り、この世界を意のままに動かし… 金の威力に幅を利かせて… われわれはそれに従わないと生きてもいけないという… しかもそんなわれわれの生への意欲、執着など、彼らには虫の息にしか聞こえない、枯れ葉── 彼らの潤沢で際限のない所有地に有効な莫大な肥料、せいぜいわれわれは肥料になるかな? ていどの存在でしかない枯れ葉── 彼らにとって── そんな本物の悪党と逢着したら、どうしたらいいのかね?

 自分達の血統以外は人間とも思わぬ人間、自分達の血筋こそこの世を支配するべきであるとしか考えられない人間、その他の民族は奴隷にすぎず… 食糧、薬品、衣服、かかる金は、ぐるり回って彼らのフトコロに豊かすぎるほどに入り… 間接的奴隷制度、ピラミッドのてっぺんにいる彼らの欲望を潤す、われわれは彼らの奴隷にしかすぎない、それだけの生の価値でしかない… 彼らの掌の上でスマホをいじくり回し、Google先生とAIにわれわれの欲する《知識》を与えられ…
 彼らの不利益になるものは、われわれの目に触れない。

 ドン・ジョヴァンニの悪党ぶりなど可愛いものだ! 彼らの「カタログの歌」は全人類なんだ… この世への憎悪、悪魔をこそ崇拝し、この世が滅びぬ限り、自分達が満足できる限り、この世は自分達のためにある、実際そうする── こんな大悪党の権力者どもに対して、どうすればいいのかね?
 人間どもを統一化するために宗教を人工的に・・・・つくり、対立をつくり、戦争をつくり… 総人口が過剰に増えれば、自分達は手を出さず、われわれにさせる… 彼らの食糧を減らさぬために。

 国を持たない人間、国を持たないということ、この恐ろしさを、きみは知っているかね。そのような人間が、一体、何を考えるか、われわれの全く見たこともない、想像限界を越えた人間、その存在、その存在の心が、全くわれわれの《常識》、理性、本能をも越えた、人間とも思えないような人間に対して── われわれはどうすればいいのかね?
 彼らが開発し、市場に売り出し、これは便利だ重宝だ、これがなくては生きていけない、そんなものに身も心も慣れ切ってしまう、われわれ自体は、どうすればいいのかね?