誤解というのは、自分が想定したことと異なった態度・言動── 解釈を相手がした、とこちらが感じた時に「誤解だ」と言う。
態度や言動は、解釈、理解、その人の内面を現わす。こちらが相手に求めたものを、相手がその通りに体現してくれなかったら、そんなリアクションをとってくれなかったら、「それは違う」と言う。
相手が精一杯、こちらの言うことを理解しようとしてくれていても、「それは違う、誤解だ」と言う。自分の思い通りに、相手がそうならなかったばっかりに!
どっちにしても想像上の問題だ。相手は一生懸命、そう思いたいのだ。こちらと同様の、熱量をもって、きっと。
それぞれに、限界がある。これは誰のせいでもない。「考え」というものを持った、「わかってほしい」といった欲を持った、人間であるがための所為なのだ。あなたのせいでも、わたしのせいでもない。
そして、だからといって、それで済ますことができない。
そのままであることができない。無理が生じる。そうして無理が当然になる。斯くして歪んだ、いびつなひずみが人間どうしの間に出来上がる。
我と我が、そこにある。あるだけでいいのに、あるだけでは済まされない。
ここの景色の中にばかりいて、あっちの景色を見ようとしない。
あっちから、ぼくたち、来たんだのに。