いいじゃないか、べつに

あきらめたよ、もう。

うん、職場の問題を、ぼくがどうできるものではないからね。

彼女の悩みは、イヤな、意地の悪い人間が職場にいることだった。

それについて、ぼくは何もできなかった。もちろんだ。

だが、彼女にだって、味方みたいな同僚がいるのだ。それがたとえ異性であり、彼女に興味関心がなく好意を抱いていないわけでもないとしても。

そう、これはとてもいいことなのだ。その彼と勤務が一緒の日は、彼女は帰宅後も機嫌が良いからだ。

できれば、その彼と、もっと仲良くなってほしいとぼくは思う。一度だけ会ったことがあるが、性質的にいい男だと思う。

彼が既婚者であっても、べつにいいではないか。

ぼくは彼女が機嫌よく、気持ちよく一日八時間、仕事場にいてくれることを願う。家にいるより、長い時間なんだから。