「今の世をどう思うね? まるでスマホなしじゃ生きてけないような現代を?」

「素敵だと思うよ。ネットで誰とでも繋がれる、自己発信も容易にできる。こんなに誰もが作家になれる時代は、創世以来初めてだろうね。
 いいね!の発明者は知り合いだけど、心理学に長けていたね。ヒトが誰しも有している自己承認要求に目を付けたのさ。このトリコにさせるツールをGoogle、Microsoft、Apple等と共同開発してね。

「資金はこの世界、現実に存在する世界の超権力者だ。現実── 世界で起こっている例えば戦争、紛争、飢餓の問題に、大衆が関心をもって対処しようとしないように。
 平和運動、原発反対、住み良い社会を! なんて考えて、具体的な活動を大衆が始めないように!
 そんなことやられたら、権力者が管理統率できなくなるからね。

「一般peopleから、彼らは金を巻き上げたいだけなんだ。youtubeのスパチャ、クレジットカード、amazon、TikTok、どれだけの金を彼らは中間搾取してると思うよ? とんでもない額だ!
 便利を全面に押し出して、うまうまと彼らはこの世を牛耳るのさ、金は無限の湧き水だ、彼らにとっちゃ」

「ほうほう。うまく出来てるもんだね」

「ヒトは助け合う精神をもっていたものだが、〈自分がこの世に存在していること〉を知ってもらいたい本能がある。この本能の前に、精神は青色吐息、消え入りそうな風前の灯、脳はすっかり焼かれて灰同然だ。

「しかも〈まわりがみんなそうしている〉から、みんなそっちへ行く。〈これがバズる〉となったら、みんなその真似をする。自己というものが喪われていく。何がそうさせるのか、そうなる自分についてを考えなくなる」

「恐ろしいことだね」

「そう、〇×△□、●×▽□、×●△■……」

「ほうほう。ほうほう」

森閑とした原生林、月夜の晩に、フクロウが話を聞いている。
ヒトが喋る、べらべら、ぺらぺら、べらぺらべら……