空飛ぶ鳥の群れ

 真下は、大海原だった。
 そのはるか上空を、ぼくは鳥になって飛んでいた。

 まわりには、いっぱい、といっても2、30羽だったか、仲間がいた。
 だが、ぼくはいつのまにかその「V」の形をして飛ぶ群れの、先頭になってしまった。

 人間の頃の記憶に、「先頭の鳥がいちばん空気抵抗を受ける」というのを思い出し、ぼくはあざとく、後ろのほうへ戻っていった。

 そのうち、死んだか何かして、今度は地上の虫のごとき小さな生き物に生まれ代わり、また今度は小動物のようなものに生まれ代わり──を繰り返すうちに、目が覚めた。

 最近、夢なのか現実なのか、わからないような夢をよく見る。
 夢だから、現実ではない。
 でも、まるで現実であったような実感が、目覚めた後に残っている。

 大空を飛んでいるときは、気持ちがよかった。
 ひとりではなく、群れることができていたせいだろうと思う。